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ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 [新書]

2010年、大阪市内で発生した二児餓死事件。
母親は育児放棄をして男と遊び回っていた。
何故、このような事件が起きたのか。
母親は鬼畜だったのか。
全ての責任は彼女にあるのか。
母親の生育歴を辿り、親族、関係者に丹念に取材をし、
事件の真相と現代社会の問題点に迫っている。

ネグレクト、非行、性犯罪被害、母親はかなり厳しい人生を歩んできた。
途中、救いの手も差し伸べられてきた感はあるが、
どうしてもこぼれ落ちてしまう。
それでも二児はどこかで救えたかもしれないと思うと胸が痛む。

離婚の際、懲罰的に子どもを押し付けたのではという、著者の指摘は鋭い。
自分が不貞を犯して離婚となったのだから、
責任を持って子どもを育てなさい。基本的には援助はしません。
理屈としては正しいのかもしれないが、
そこに子どもへの愛情や人権という意識は見られない。
実際問題、手に職のない母子家庭は貧困に陥る可能性が高く、
子どもの将来を考えたら、周囲が援助すべきだったのだろう。
母親はSOSの出し方が下手で、諦めも早いため、
行政の支援は受けることができなかった。
ここで行政を攻めるのは酷か。
都会のマンションでは住人同士の交流はない。
転落と袋小路の連鎖から母親は飛んでしまったのだ。

読んでいてかなり切なくなってしまう。
類似の事件が生じないために、私たちは何をすべきか、
考えさせられる内容であった。


ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)

ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)

  • 作者: 杉山 春
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2013/09/04
  • メディア: 単行本



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