SSブログ

慈雨 [小説]

警察官を定年退職した神場智則は
妻とともに四国遍路の旅に出た。
旅先で少女誘拐事件を知り、
16年前、自らが捜査した事件を思い出す。
神場は過去の事件に対する悔恨があったのだ。

自らが犯した過ちへの後悔や葛藤などが丁寧に描かれている。
事件そのものはアッサリした印象が強かった。
お遍路のシーンがやや長かったか。


慈雨 (集英社文庫)

慈雨 (集英社文庫)

  • 作者: 柚月 裕子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/04/19
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

記憶の渚にて [小説]

ある作家が謎の死をとげる。
会社経営者の弟は兄の死の真相に迫るため奔走する。

人間の記憶とはどのようなものなのか。
哲学的な考察が続き、また人間関係が複雑なので、
理解するのに、かなり頭を使ってしまうだろう。
ラスト付近、強引に収束していく感じが残念だった。


記憶の渚にて (角川文庫)

記憶の渚にて (角川文庫)

  • 作者: 白石 一文
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

サラバ! 下 [小説]

歩はフリーライターとなり順調に仕事をしていた。
しかし急激な容姿の衰えをきっかけに自信を無くしていく。
見栄えと世渡りの上手さで生きてきた歩は
自意識の高さ故、挫折感から立ち直れない。
そんなとき、世界を放浪していた姉が帰国してきた。
姉は以前とは別人のようになっていたのだった。

誰しも、自分自身の生き方を問わざるをえない場面があるのだろう。
他人の顔色を伺って、上手く立ち回ってきた歩にとっては辛いことが続くが、
若いときにいい思いをしたのだったら
それはそれで人生のバランスが取れているのかもしれない。
姉の変わりようや後半の展開は強引だったが、
物語をまとめる上では仕方が無い部分もあるのか。


サラバ! 下 (小学館文庫)

サラバ! 下 (小学館文庫)

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

サラバ! 中 [小説]

歩の両親は離婚し、エジプトから帰国する。
母、姉と過ごすことになった歩はサッカー部に入り、
学校では良いポジションをとり、順調な生活を過ごす。
高校では同級生の須玖に影響を受けるが、
阪神大震災を境に関係が変わっていく。
一家と付き合いがあった近所の矢田おばちゃんは
新興宗教の教祖様のような存在になっていた。
おばちゃんに懐いていた姉は頻繁に出入りするようになるのだった。

歩の青春時代は順調そうに進んでいくが、
傲慢さが底にあるので、破綻の予感は消えない。
姉は相変わらず波瀾万丈で、
今後が気になる存在となっている。


サラバ! 中 (小学館文庫)

サラバ! 中 (小学館文庫)

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

サラバ! 上 [小説]

圷歩は父親の海外赴任先イランの病院で産まれた。
問題児の姉と女の部分が強い母のもとで、
幼い頃から諦観を覚えていき、人との間の立ち回りも上手くなる。
それに対して姉はその性格ゆえ、周囲に溶け込めず孤立を深めていく。
母はそんな姉に戸惑いを隠さない。
イランから大阪、エジプトと話は進んでいく。

姉と母の人間性の描写が優れていた。
作者の経験が活かされているのか、
イランとエジプトの情景が目に浮かぶようだった。


サラバ! 上 (小学館文庫)

サラバ! 上 (小学館文庫)

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ: