昭和「娯楽の殿堂」の時代

高度経済成長期前後、日本の都市部において
娯楽の場ができあがってきた。
そこは膨大なエネルギーと欲望の解放が感じられる場所だった。
船橋ヘルスセンター、江東楽天地、池袋ロサ会館、
ボウリング場、東京オリンピック、競馬場、寄席、
等々を歴史学的、社会学的に分析。
娯楽施設のカラー写真から昭和という時代のパワーを垣間見ることができる。

昭和「娯楽の殿堂」の時代

• 作者: 三浦 展
• 出版社/メーカー: 柏書房
• 発売日: 2015/04/24
• メディア: 単行本

スーパーマンの誕生 KKK・自警主義・優生学

アメリカの代名詞ともいえるスーパーマン。
その隠れた場所で変身する正体不明の男という起源は
白人至上主義のKKKにある。
法律を無視した「正義のための暴力」はアメリカ国家を生んだ自警主義がルーツだ。
そしてアメリカ生まれの優生学の影響も受けている。
こうした暗い起源を持つスーパーマンだが、
社会に対する適合性を維持することでヒーローとなることができたのだ。

スーパーマンの他にも『魔人ドラキュラ』や『フランケンシュタイン』
『キングコング』などを取り上げ、アメリカ社会の隠された暗部について
わかりやすく解説している。
着眼点が興味深い本だった。

スーパーマンの誕生 KKK・自警主義・優生学 [ 遠藤　徹 ]

• ショップ: 楽天ブックス
• 価格: 2,160 円

スポーツの経済学

著者は1992年、東大からロッテに入り話題となった小林至氏。
懐かしい。

オリンピック、
メジャーリーグやアメフトなどの北米プロスポーツ、
FIFAワールドカップや欧州サッカーリーグなどを通して
現代スポーツがどれだけ経済的に発展したかが分析されている。
日本は欧米ほど莫大なテレビ放映権料が発生することもなければ、
アメリカのように自治体が税金を使って支えてくれることもない。
そのためスポーツビジネスの環境は厳しいことがわかるが、
徐々に改善はされている様子だった。
スポーツでも日本はグローバル化に取り残されているといった印象が強くなる一冊。

スポーツの経済学

• 作者: 小林至
• 出版社/メーカー: PHP研究所
• 発売日: 2015/12/12
• メディア: 単行本（ソフトカバー）

奇妙なアメリカ: 神と正義のミュージアム

アメリカ各地にある8つミュージアムを調査して
アメリカ社会や文化の考察を試みている。
読んでいると覇権主義的で自己肯定感が強く
硬直化した思想に囚われているアメリカといった印象が強くなる。
しかし反対意見に対してもオープンなところもあり、
なんでも飲み込む懐の深い様子も窺える。
（『全米原子力ミュージアムの前で核廃絶運動をしても問題は起こらない）
最後の『戦艦アリゾナ号メモリアル』は真珠湾攻撃についての展示だが、
当時の日本社会の様子や歴史的文脈、
年老いた兵士たちのコメントも紹介されている。
日米関係への配慮もあるだろうが、グローバル化の中、
アメリカでも多文化主義的感性を持った思想も広がりつつあるということを
示した好例だといえる。

掲載されているミュージアムを記す。
『創造と地球の歴史のミュージアム』
『全米原子力ミュージアム』
『クリスタル・ブリッジズ・ミュージアム』
『犯罪と罰のミュージアム』
『全米日系アメリカ人ミュージアム』
『ルイジアナ州立ミュージアム』
『ナショナル9.11メモリアル』
『戦艦アリゾナ号メモリアル』

奇妙なアメリカ: 神と正義のミュージアム (新潮選書)

• 作者: 矢口 祐人
• 出版社/メーカー: 新潮社
• 発売日: 2014/06/27
• メディア: 単行本（ソフトカバー）

日本のいまが読み解ける 戦後世界史

第2次世界大戦後の世界史が日本にどういった影響を与えたか。
冷戦、経済、紛争、国際、政治、社会の6つのキーワードでジャンルを示し、
東西冷戦から現在までの世界史を重要事件ごとに振り返っている。
著者は予備校講師らしく、ポイントをわかりやすくまとめており、
たいへん読みやすい本だった。
現代史を勉強している人にとって、復習に丁度よいのではないだろうか。

日本のいまが読み解ける 戦後世界史

• 作者:
• 出版社/メーカー: 河出書房新社
• 発売日: 2014/12/26
• メディア: 単行本