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こころの最終講義 [学問]

著者は日本におけるユング派心理学の第一人者。
『天地始之事』『日本霊異記』『落窪物語』『とりかえばや物語』などを通して
日本人のこころの在り方や宗教的、文化的背景を
わかりやすく解説している。
講義集なのでたいへん読みやすかった。

『天地始之事』では隠れキシリタンなりの解釈があり、
聖書原本とは異なった部分が多々見られるのが興味深い。
日本人は八百万の神々という考え方が浸透しているので、
唯一絶対神のキリスト教は根本的には理解できず、超訳がみられる。

『落窪物語』では娘が若い男と恋仲になろうとするのだが、
それを継母が阻止しようとして、年老いた男をあてがう。
娘は老人の侵入を必死で食い止める。
西洋ならここで颯爽と若い男がやってきて、
老人を追い払うのだが、この話は違う。
部屋への侵入を食い止められた老人が、
どうやって忍び込もうか思案しているうちに、
寒さゆえ腹を壊してしまい、退散するというオチなのだ。
こんな話、他所ではありませんと河合氏は絶賛していた。


こころの最終講義 (新潮文庫)

こころの最終講義 (新潮文庫)

  • 作者: 河合 隼雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/05/27
  • メディア: 文庫



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